かつて人だったもの。父の記憶。
亡くなった自分の父はかつて飛行機乗りでした。と言っても、客室乗務員。
中曾根康弘大勲位が首相時代に飛行機に搭乗した記念写真が今でも家に残っています。
大勲位が若い…
皇族のお忍びフライトや有名人の噂はちょいちょい話してました。
裏面は内角官邸写真室から送られたことがわかります。
昭和の終わりですね。第二中曾根内閣であったとわかります。
自分の母も客室乗務員。兄もヘリ会社勤務。叔父はヘリ整備士、ほかにもパイロットも親戚にはいる。
とにかくなんとなくうちはなんとなく航空一族。
息子は病人ですがね…
のーてんきな父でした。高度を聞かれて笑いながら通風孔に指をなめて大体何フィートですねとか言ったとか、ドイツ線で機内アナウンスしようとして、ありがとうございました。といおうとして、ダンキュー(ダンケシェーン+サンキュウ)と言い間違えたとか。
あとは韓国路線で、お客様の呼び出しで名前が呼べなくて、お客様の金様といって、金様って何人いるんだって突っ込まれたとか。
他にも大事故が起こるときにはなぜか家にいました。
御巣鷹山の時は同僚もなくなっていたとか、乱気流で天井にたたきつけられたとか聞きました。
それなりに地獄も見ていたんだなって今になると思います。
で、いろんな話を聞きました。
アンカレジでUFO見た話とか、インドに行ってトイレがなくて野糞したはなしとか、南回りとか、アンカレジ経由の飛行機があったとか。
子供のころは父親は冒険家なんじゃないかなって思ってました。
父がアラブや中央アジア留学を勧めてくれなかったら、きっと今の自分はなかったような気がします。
で、今回の本題はHRS(Human remains)=遺体
荷物の扱いになると聞いた覚えがあります。
human remains直訳すると人だったものですね。遺体という意味がありますが。
ある時、父は太平洋上で心筋梗塞か、呼吸困難でお客様が亡くなって、シートベルトで縛って帰ったという話を聞いたことがあります。
飛行機で乗ってるとお医者様の呼び出しがちょいちょいあります。実際は結構責任を伴うので、黙っているお医者様も多いと父から聞いたことがあります。
そういえば救護箱を開ける資格が歯医者にはないので、歯医者に出てこられると断るのに困るとかいってましたね。
亡くなってしまったら緊急事態になるのだろうか?とふと思うのです。
亡くなる前は緊急事態でしょうが…
どのような扱いで税関を通るのだろうと思います。