【1】IS ALL NEED LOVE? 百万回生きた猫

さて一発目。

愛こそすべてです。ビートルズの超名曲を思い出しますね。

ビートルズがジョンがオノヨーコへの愛を貫いたために空中分解したのは有名な出来事だと思います。

Starting over(再出発)を最後にジョン・レノンがマークチャップマンに撃たれ亡くなったという悲劇もですが、個人的には何というか無常というか、皮肉のようなものを感じます。

 

大学のころ英語にはまったことがありました。

英会話の授業で好きな歌手はといわれ、当時音楽を知らなかった僕はとっさにニルヴァーナと言えず、ビートルズと言いました。

そしたら「日本人はビートルズしか聞かないの?」と呆れたように先生は言いました。

先生にしてみれば、音楽なんていろいろあるのに何で懐メロのビートルズしか聞かないんだという感覚があったのでしょう。

でも大学生なんて結局、当時、ミスチルとスピッツとグレイぐらいしか聞いてないのです。

洋楽マニアなんて、まあインターネット黎明期にはほとんどいなかったのです。


Love Is All You Need - Beatles

さて今回語るのは初回ということで有名なタイトルで行きましょう。

佐野洋子さん100万回生きた猫です。

100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)

100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)

  • 作者:佐野 洋子
  • 発売日: 1977/10/19
  • メディア: 単行本
 

 この本を勧めてくれたのは、大学生の時仲良かった女の子でした。

本が好きという僕に、これは読んだ?という軽い試験をかましてきました。

で、当時の僕はどっぷり初期村上春樹ブームで、読んだことなかったのを覚えています。で、読んだ感想はまあ、いい物語だよね。というところでした。

 

大人になって、読み返して、泣くということもなく。

むしろ最近はこれを思い出すと、むしろ、これいい物語だったのかな?と逆に考えてみます。いや、愛こそすべてを体現しているといえばそうなのですが、本当に愛こそすべてなんですか?という疑問を持ってしまいます。

 

多分に、ネタばれします。ご注意ください。

 

簡単にあらすじを言うと、何回も転生する猫がいて、どんなに愛されても満足することができなくて、でも本当に愛する猫ができたら一緒に死ぬことができました。

 

と、ざっくり言えばこんな感じ。

 

ここにはとても日本人というか仏教徒的な思考があります。

輪廻転生です。

愛することの意味を知らない猫は百万回の長きにわたって、輪廻転生します。

そしてありとあらゆる愛を得ながら、満足することができず。生まれ変わります。

ですが、本当に愛するものを得た瞬間に輪廻の輪から抜け落ちて成仏することができました。

愛すること輪廻の輪から落ちることが最高の幸せ。

 

そりゃそうだけどさ… 否定はしないが…

 

でも、百万回生きることに匹敵するのが愛?と思っちゃうのですよね。

すべての真理は愛です!って宣言されても…困るというか、苦笑いというか。

中高生の時は恋愛がすべてとかはわかります。でも年を経て、人生にはさまざまな色があることに気づいてきました。

病気をしたからでしょうか。生きるそのものが祝福を得た出来事のようにも感じるのです。

また、愛は生きる喜びであると同時に、別離の悲しみでもあります。

人を愛する前に傘を用意しなくてはならないとは辻仁成の言葉です。

 

いや、世間的にはAll need is loveなのかもしれませんが、それが百万回の輪廻を終わらせるには余りにも軽いような気がしなくはないのです。

いや愛する猫との関係の中で生きる幸せを感じたんだという反論もあるかと思います。

でも、そんなこと書いてないし、想像するしかできないのです。

 

冷静になって読んでみるとずいぶん意見が変わる本かと思います。