それでも好きだといえる?【3】

大学で一番好きだったのは、何気に現代西洋美学の授業でした。

ピカソの偉大さを論理的に、ダビンチから順に絵画史という点で追いかけていくという授業でした。

恩師であった先生にたまたま転学しても教わり続けることができて、僕は美術館に通う生活をしていました。

 

逸脱する絵画 (20世紀芸術学講義)

逸脱する絵画 (20世紀芸術学講義)

  • 作者:宮下 誠
  • 発売日: 2002/05/01
  • メディア: 単行本
 

そして、油絵というジャンルが持っている2次元性がピカソによって解体され、絵画が時間を取り込む過程っていうのと、取り込んでしまってにっちもさっちもいかなくなるというジレンマを習ったわけです。

 

で、今回は漫画ブルーピリオドを紹介したいと思います。

 この漫画、僕がかつて絵を習っていた元芸大の画家の先生が、痛いほどわかるというぐらい、極限までよくわかっているといった。美大受験漫画です。

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

 

 

この中で、主人公は絵によって人生を変えられます。美大に入るという過程はもちろんだけど、予備校で死ぬほど絵をかきます。

それも尋常じゃないテーマで。自画像書きなさいと言われたら、素直に書くのではなく本質に迫った形で書かされます。現代美術とは何か?と習ってないのに抽象のはるかかなたで表現を求められてしまうのです。

当然、心を病んでしまう登場人物もいます。

 

で、僕の先生は倍率うん百倍の美大を卒業し、有名作家になるわけではなく、絵画教師でした。

残酷な世界のお話です。でも、先生曰く限りなくリアルだと。

 

好きだから。という理由が通用しない世界です。

ちょっとうまいからってのも通用しません。

世の中のほとんどの作品がうまい才能を持った人が書かれた作品であるのに対し、ここで書かれるのは圧倒的に無力で、才能があるかわからない人々の話です。

もちろん才能がある人をかくことがとても上手な作品もありますが、ブルーピリオドに関しては圧倒的な才能があるとは言えないのです。

 

今朝母と予備校の前を通った時、○○○○高校合格!っていくつも書いてあるでしょ。

あれって一人の生徒のことが多いのよね。才能って残酷よねって話になりました。

 

先週、あるパラアスリートがうつ病で引退しました。そこでふと気になってアスリートの年収を調べてみました。

信じられないぐらい低かったのを覚えています。

 

野球選手になって出世してとか、サッカー選手になってヨーロッパでてとか。F1パイロットとか。そんなの才能あって、努力した人だけがなれる世界なのです。

しかも特定のスポーツだけ。

 

なんというか、それでも何かを表現するって怖いなって思わせる作品です。

よんでください。